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Web集客のKPI設計|何を計測すれば成果がわかるか

Web集客のKPI設計|何を計測すれば成果がわかるか

「自社のWebサイトを立ち上げ、SEO記事の執筆やWeb広告、SNS、MEOなど、さまざまなWeb集客に取り組んでいる」という中小企業は年々増えています。

しかし、Web集客の成果は「PV(ページビュー)数」や「セッション数(アクセス数)」が増えたという理由だけで判断してはいけません

本当に見るべきなのは、問い合わせ数や資料請求数といった「CV(コンバージョン)数」、アクセスをどれだけ効率よく成果に変えられたかを示す「CVR(コンバージョン率)」、1件の成果を得るのにかかった「CPA(顧客獲得単価)」、さらには営業部門に引き渡した後の「商談化率」や「受注率」といった、最終的な売上に直結する指標です。

この記事では初めて自社のWeb集客の数字管理に取り組む中小企業の担当者様に向けて、以下の実務ポイントを分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • Web集客においてKPI設計が絶対に必要な理由
  • 混乱しやすい「KPI・KGI・KSF」の明確な違い
  • Web集客で必ず押さえるべき主要KPI一覧
  • リソースの限られた中小企業がまず最初に見るべきKPI
  • 【目的別・施策別】そのまま使えるKPIの設定例
  • 数字の繋がりを可視化する「KPIツリー」の具体的な作り方
  • 測定した数字が悪いときに現場が取るべき改善アクション
  • KPI設計でよくある失敗パターンと対策

もくじ

Web集客のKPIとは

Web集客のKPIとは

KPIとは「Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。最終的な目標(売上など)を達成するために日々の業務や施策の進捗がどれくらい順調に進んでいるかを客観的に測るための「中間の数値指標」のことです。

Web集客におけるKPIは、自社が実施しているSEO記事の投稿、リスティング広告、SNSの運用、ランディングページ(LP)の改修、MEO(Googleマップ対策)などの各施策が、狙い通りに成果へ繋がっているかを確認するための数字となります。

具体的な代表例として下記があります。

  • サイトへの訪問回数を示す「セッション数」
  • 広告の「クリック率」
  • 問い合わせや資料請求の件数を示す「CV数」
  • アクセスした人のうち成果に至った割合を指す「CVR」
  • 1件の成果獲得にかかったコストを指す「CPA」

ただし、KPIはただ思いついた数字を羅列すればよいというものではありません。最終目標である売上高や問い合わせ件数から逆算し、それぞれの数字がどのように連動しているかを整理して設定する必要があります。

Web集客の実務では「どれだけ多くの人を集めたか」という入り口のボリュームだけでなく「集まった人がどれだけ問い合わせ・商談・受注に繋がったか」という出口の質まで一貫して追いかける姿勢が求められます。

Web集客でKPI設計が必要な理由

Web集客でKPI設計が必要な理由

なぜ、Web集客においてわざわざKPIを細かく設計する必要があるのでしょうか。それは「なんとなくアクセス数だけを眺めている状態」から脱却し、Webサイトや広告を「売上を生み出す確実な仕組み」に変えるためです。具体的な理由は以下の3つに集約されます。

成果が出ているか判断できるようになる

明確なKPIが設定されていないと、現在行っているWeb施策が本当にうまくいっているのかどうかを会社として正しく判断できません。

例えば、ブログ記事をたくさん書いて「月間のセッション数(アクセス数)が2倍になった」としても、肝心の問い合わせ数が1件も増えていなければ、ビジネス上の成果が出ているとは言えません。

また、問い合わせの件数自体が増えていても、その中身が自社のターゲットと外れており、営業がアプローチしても全く商談や受注に繋がっていなければ、やはりWeb集客のやり方に改善が必要だと分かります。

KPIを決めておくことで、自社のWeb集客が「どれくらい売上に貢献しているか」を社内で誰の目にも明らかな形で可視化できるようになります。

Danger

月間セッション数が2倍になっても、問い合わせ数が変わらない場合は、集客よりも導線や訴求に課題がある可能性があります。

改善すべき場所がわかる

Web集客のプロセスをいくつかのKPIに細かく分解しておくと、ユーザーが「どこでつまずき、どこで成果が止まっているか」のボトルネックが浮き彫りになります。

自社のサイトにそもそも「人が集まっていない(流入不足)」のか、人は来ているけれど「ページの内容が響かずに離脱している(ページ訴求不足)」のか、あるいは問い合わせ用の「入力フォームが使いにくくて諦められている(フォーム不備)」のかを、数字が明確に教えてくれます。

改善すべきピンポイントの場所が分かれば、限られた時間や予算をどこに集中させるべきか、施策の優先順位を迷わずに決められるようになります。

数字から判断できる課題と改善箇所の例

  • 検索結果への表示回数は多いがクリック率が低い:記事のタイトルや広告文、ディスクリプションに魅力がない(課題)➔ タイトルやテキストの改善が必要(施策)
  • セッション数は十分に多いがCVR(コンバージョン率)が低い:ページの訴求がターゲットに響いていない、または問い合わせボタン(CTA)が見つけにくい ➔ LPの内容改修や導線の見直しが必要
  • CV(問い合わせ数)は多いが商談化率が低い:集客しているキーワードがずれている、またはサイト上の情報と実際のサービス内容にギャップがある ➔ 集客ターゲットや広告キーワードの見直しが必要
  • 商談数は多いが最終的な受注率が低い:Webサイト側の問題ではなく、営業資料や提案内容、商談時のヒアリング内容に課題がある ➔ 営業部門の提案体制の改善が必要

社内や外部業者との共通認識を作れる

KPIは、Web集客に関わる全員の「共通言語」となります。

社内の経営者、Web担当者、営業部門のスタッフだけでなく、外部のWebサイト制作会社や広告代理店といったすべての関係者が、全く同じ数字(共通の指標)を見て進捗を判断できるようになります。

「なんとなく雰囲気が良さそう」「最近、問い合わせが増えた気がする」といった曖昧な感覚での会話がなくなり、「先月に比べてCVRが0.5%落ちているので、ここを修正しましょう」といった、数字に基づいた建設的な会話ができるようになります。

Information

KPIを決めておくと、制作会社や広告代理店のレポートを受け取ったときに成果を判断しやすくなります。

KPI・KGI・KSFの違い

KPI・KGI・KSFの違い

Web集客の数字管理を始める際、マーケティングの解説書などで必ず登場するのが「KGI」や「KSF」という用語です。これらはKPIと密接に結びついており、それぞれの役割を正しく理解しておくことで、数字の設計図を正しく描けるようになります。

KPI・KGI・KSFの違い

  • KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標):最終的に達成したい「最上位のゴール(最終目標)」です。売上高、利益額、あるいは年間や月間の成約件数などがこれに該当します。
  • KSF(Key Success Factor:重要成功要因):KGIというゴールを達成するためにビジネス上「何を成功させればよいか」という、鍵となる具体的な行動や要因(戦略)のことです。
  • KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標):KSFが実際にどれくらい達成できているかを、日々の実務で客観的に計測できるように「数値化(指標化)」したものです。

Web集客の仕組みを作る際は、まず最上位のKGIを明確に定め、そのゴールを達成するためにクリアすべきKSFを洗い出し、最後にそれを日々の行動として追いかけられるKPIの数字に落とし込んでいく、という逆算の流れが基本となります。

どれだけ日々のKPIの数字を達成していても、それが最上位のKGI(売上や受注)の向上に繋がっていなければ意味がないため、この3つの繋がりを常に意識してください。

助成金と補助金の比較表

それぞれの言葉の意味と、Web集客の実務における具体的な置き換え例を一覧表にまとめました。

項目本質的な意味Web集客における具体的な例
KGI最終的に会社として達成したい「最終目標(ゴール)」・月10件の新規受注を獲得する
・Web経由の売上を年間1,000万円にする
・月50件の有効な問い合わせを獲得する
KSFゴールを達成するために不可欠な「成功の鍵(要因)」・自社サイトへの訪問者を増やす(アクセス強化)
・訪問者が問い合わせしたくなる仕掛けを作る(CVR改善)
・問い合わせからアポイントへ繋げる確率を上げる(商談化率の向上)
KPI成功の鍵が順調かを測る「中間の数値指標(プロセス)」・月間セッション数:3,000回
• コンバージョン率(CVR):1.5%
・問い合わせ獲得件数:45件
・商談化率:60%
・顧客獲得単価(CPA):20,000円以下

Web集客では、まずKGIを決め、その達成に必要な要素を分解し、KPIとして計測する流れが基本です。

具体例:問い合わせ獲得を目的にした場合

より実務をイメージしやすいよう「Webサイトからの問い合わせ獲得」を主軸に置いた場合の、3つの指標の分解例を以下に示します。

このように分解すると、問い合わせが少ない原因が“アクセス不足”なのか“ページ改善不足”なのかを判断しやすくなります。

例えば、今月の問い合わせが目標の10件に対して「3件」しか届かなかったとします。

このとき、数字を分解して確認した結果「セッション数は2,500回(目標クリア)あるのにCVRが0.12%(目標未達)に落ち込んでいる」ことが分かれば、やるべきアクションは「これ以上アクセスを増やす広告を打つこと」ではなく「問い合わせページのデザインや文章を見直してCVRを上げること」だと、一目で的確な判断を下せるようになります。

Web集客の成果は5段階で見る

Web集客の成果は5段階で見る

Web集客の成果は、アクセス数だけでは判断できません。流入、行動、CV、商談、受注の5段階で見ると、どこに課題があるか把握しやすくなります。

ユーザーが自社のWebサイトを知り、最終的に顧客になって売上が発生するまでには、いくつかの明確なステップが存在します。この流れを遮断せず、一気通貫で追うために成果を以下の5つのフェーズに分けて管理することをおすすめします。

5段階のKPI設計表

段階見ること(ユーザーの状態)主なKPI
1. 流入どれだけ自社サイトに人が来ているかセッション数、ユーザー数、検索表示回数、広告表示回数
2. 行動サイト内でページがきちんと読まれているか直帰率、離脱率、平均エンゲージメント時間、回遊率
3. CV問い合わせや資料請求、購入につながったかCV数、CVR、フォーム到達率、フォーム完了率
4. 商談問い合わせ客が、見込み客として有効か商談化率、有効リード数、アポイント数
5. 受注最終的に自社の売上につながったか受注率、受注件数、受注単価、LTV

特にBtoBや高単価サービスでは、CV数だけでなく商談化率や受注率まで見ることが重要です。問い合わせ数が増えても、商談や受注につながらなければ、Web集客の成果としては不十分です。

マーケティング部門がどれだけ多くの問い合わせ(CV)を獲得しても、営業部門が「まったく商談にならない質の低いリードばかりだ」と感じているようであれば、集客のフェーズ(流入や訴求)へ戻ってターゲティングを修正しなければなりません。こ

の5段階の繋がりを意識しながら、各施策の具体的な数字をチェックしていきましょう。

Web集客で見るべき主要KPI一覧

Web集客で見るべき主要KPI一覧

Web集客の実務でよく使われる主要なKPIを、計測する目的(カテゴリ)別に整理してご紹介します。すべての数字を一気に覚える必要はありません。

自社が現在実施している施策や、確認したいフェーズに合わせて、必要な指標を辞書のように引いて活用してください。

集客量を測るKPI

どれだけ多くのユーザーを自社サイトへ集められているか、認知や露出のボリュームを確認するための指標です。主にSEO記事の成果外部や、広告の配信量、MEOの露出状況などを確認する場面で活用しましょう。

ただし、前述の通り集客量だけでは最終的な成果の判断はできないため、あくまで入り口の指標として捉えててください。

KPI意味主に見るべき場面・活用法
セッション数ユーザーがサイトを訪問した延べ回数Webサイト全体の集客状況や、アクセス数の推移を確認したいとき
ユーザー数特定の期間中にサイトを訪れた「個人の人数」同一人物の重複を除き、純粋に何人にリーチできたかを見たいとき
PV(ページビュー)数サイト内のページが表示・閲覧された総回数サイト全体や特定のコンテンツが、どれくらい多く読まれているかを見たいとき
検索表示回数Google等の検索結果に自社のページが表示された回数Googleサーチコンソールを使い、SEO記事の露出状況を確認したいとき
広告表示回数出稿しているWeb広告が画面に表示された回数広告が設定通りに十分なボリュームで市場に配信されているかを見たいとき

ユーザー行動を測るKPI

サイトにやってきたユーザーが、ページ内でどのような行動をとっているかを確認するための指標です。Webサイトのコンテンツの質、ナビゲーション(導線)の分かりやすさ、問い合わせへの誘導がスムーズに機能しているかを判断する際にチェックしてください。

現在のGoogleアナリティクス(GA4)では、従来の直帰率だけでなく、ユーザーが自ら関与した動きを示す「エンゲージメント」系の指標を重視することをおすすめします。

KPI意味主に見るべき場面・活用法
直帰率サイトに訪れた人のうち、1ページだけ見て離脱した割合検索ユーザーの意図と、最初に着地したページの内容が合っているかを見たいとき
離脱率ユーザーがそのページを最後にサイトから離れた割合問い合わせの手前など、特定のページでユーザーが不自然に逃げていないかを探すとき
平均エンゲージメント時間ユーザーがページを実際にスクロールしたり読んだりした時間記事コンテンツやサービス紹介が、本当に集中して読まれているかを見たいとき
回遊率1回の訪問あたり、平均して何ページ閲覧したかという割合関連するページへの内部リンクや、サイト内の導線が機能しているかを確認したいとき
フォーム到達率サイト訪問者のうち、問い合わせ用のフォーム画面へ進んだ割合サービスページから問い合わせへの誘導(CTA)が強いかどうかを判断したいとき

成果を測るKPI

Web集客における「直接的な成果」に最も近い、極めて重要な指標です。Webサイト上で設定した最終的なアクション(問い合わせ、資料請求、予約、購入など)がどれくらい発生したかを測定します。

中小企業がWeb集客に取り組む際は、まずこのカテゴリの指標を最優先で管理するようにしましょう。

KPI意味主に見るべき場面・活用法
CV(コンバージョン)数問い合わせ、資料請求、購入などが完了した「件数」Webサイト全体の最終的な獲得成果をボリュームで評価したいとき
CVR(コンバージョン率)サイト訪問者のうち、実際にCV(成果)に至った人の割合アクセスに対して、ページの内容やオファー(特典等)がどれだけ魅力的かを見るとき
問い合わせ数フォームの送信や、電話タップによって発生した相談件数BtoBビジネスや、個別見積もりが必要なサービス業での成果を追うとき
資料請求数ホワイトペーパーのダウンロードやカタログ請求が行われた件数即問い合わせには至らない、見込み客の情報を集める施策(リード獲得)を見るとき
予約数来店予約やオンライン面談、無料相談の申し込みが入った件数実店舗を持つビジネスや、士業、各種対面サービス業で成果を見るとき

費用対効果を測るKPI

Web広告の運用を代理店に委託している場合や、自社で広告費・外注費を投じている場合に必須となる指標です。どれだけ大量にアクセスや問い合わせを集められていても、1件あたりの獲得コストが高すぎて赤字になってしまっては意味がありません。

広告運用を行う際は、割高なコストを抑制するためにもCPAやCPC、ROASなどの数字を毎月必ずチェックし、採算が合っているかを確認してください。

KPI意味主に見るべき場面・活用法
CPA(顧客獲得単価)1件のCV(成果)を獲得するためにかかった広告費用広告やランディングページ(LP)施策の「費用対効果」を最も厳格に見たいとき
CPC(クリック単価)広告が1回クリックされるたびに発生した費用の平均値広告の出稿キーワードやターゲティングの購入効率が適切かを見たいとき
CTR(クリック率)広告が画面に表示された回数に対する、クリックされた割合配信している広告文やバナー画像が、ユーザーにとって魅力的かを見るとき
ROAS(広告費用対効果)投資した広告費に対して、どれだけの「売上」が得られたかの割合ECサイトでの販売など、広告費に対する直接の売上回収効率を見たいとき
CAC(顧客獲得コスト)広告費だけでなく、ツール代や人件費も含めて1客獲得にかかった総コストWeb集客全体のトータルでの採算性や、投資対効果を総合的に判断したいとき

売上につながるKPI

Webサイトで獲得した問い合わせ(CV)が、最終的にどれくらい会社の利益をもたらしたか、一歩踏み込んだビジネスの最終成果を見るための指標です。

特にBtoB商材や注文住宅などの高単価サービスでは、Web上だけで契約が完結しないため、CVした「後」の数字が何よりも重要になります。

マーケティング担当者だけで抱え込まず、必ず営業部門とデータを共有・連携して確認しましょう。

KPI意味主に見るべき場面・活用法
商談化率Webから届いたCVのうち、実際の商談(面談やアポ)に進んだ割合Webサイトから集まっている問い合わせやリードの「質」を評価したいとき
有効リード数届いた問い合わせのうち、自社の営業対象となる「見込み客の数」売り込みや営業妨害などの無駄な問い合わせを除き、正しい集客ができているかを見るとき
受注率実際に商談へ進んだ案件のうち、最終契約(受注)に至った割合Web集客から営業活動へのバトンパスや、提案・クロージングの成果を見るとき
受注単価1件の契約(受注)あたりにおける平均の売上金額Web集客が、高単価な案件の獲得にどれくらい貢献できているかを測るとき
LTV(顧客生涯価値)1人の顧客が、取引期間を通じて将来的にもたらす総利益・総売上サブスクリプション型サービスや、リピートが前提のビジネスで費用対効果を測るとき

中小企業がまず見るべきWeb集客KPI

中小企業がまず見るべきWeb集客KPI

Web集客で管理できる指標は非常に多く、専門用語を並べ立てるとキリがありません。しかし、中小企業の現場においては、最初からこれらの数字をすべて追う必要は全くありません。

社内に専任の高度なマーケティングチームがいない場合、毎日チェックする数字が多すぎると、集計作業だけで担当者が疲れ果ててしまい、運用の継続が困難になります。

まずは自社の売上や利益に直結する最低限の重要なKPIだけに的確に絞り込み、月1回のペースでも構いませんので、同じ指標を継続して定点観測していくことが何よりも実務的です。

最初に見るべき5つのKPI

リソースの限られた中小企業が、自社のWeb集客の健康状態を把握するためにまず最優先で固定して追いかけるべき5つの数字をご紹介します。

中小企業の場合、PVや滞在時間を細かく追うよりも、まずは“問い合わせが増えているか”“問い合わせが商談につながっているか”“獲得単価が高すぎないか”を見る方が実務的です。

ここからは、自社が特に力を入れている集客の「手法」や「目的」に合わせて、追加でセットにして確認すべきKPIの組み合わせを整理しておきます。

SEO中心なら見るべきKPI

ブログ記事の投稿や、コンテンツマーケティング(自然検索からの流入)を主軸にしてWeb集客を行っている場合は、GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクスを使い、以下の5つの指標の変化を追っていきましょう。

KPI実務においてチェックする理由
検索表示回数自社の狙ったキーワードで、そもそも検索結果の画面に表示され始めているかを確認するため。
クリック数検索結果に表示された中から、実際に何回サイトへユーザーが流入したかを確認するため。
平均掲載順位狙っている重要キーワードの検索順位が、施策(リライト等)によって上昇しているかを見るため。
SEO経由セッション数広告やSNSを除き、検索エンジンから純粋に訪れてくれた無料の集客量がどれくらいあるかを見るため。
SEO経由CV数読まれているブログ記事や解説ページが、最終的にきちんと問い合わせに繋がっているかを見るため。

広告中心なら見るべきKPI

GoogleやYahoo!のリスティング広告、Meta(Facebook/Instagram)広告などの運用を行っている場合は、広告管理画面を開き、予算を無駄遣いしないために以下の5つの数字をセットで観察してください。

KPI実務においてチェックする理由
表示回数(インプレッション)設定したターゲティングや予算の枠内で、広告が市場に十分に配信されているかを確認するため。
CTR(クリック率)配信している広告の文面やバナーの画像が、ユーザーの興味を惹きつけているか(クリックされているか)を見るため。
CPC(クリック単価)競合との入札争いなどによって、1クリックあたりにかかる広告コストが高騰しすぎていないかを見るため。
CVR(コンバージョン率)広告をクリックした後の着地ページ(LP)が、ユーザーの期待を裏切らずに成果に繋がっているかを見るため。
CPA(顧客獲得単価)1件の問い合わせを獲得するためにいくらの広告費を使ったか。自社の許容コスト内に収まっているかを見るため。

問い合わせ獲得が目的なら見るべきKPI

BtoBの商談獲得や、個別の相談・見積もり依頼をWEBサイトから増やすことをゴールにしている場合は、ユーザーがフォームを送信して完了するまでの「プロセスの脱落(離脱)」を防ぐために以下の5つのKPIを連動させて確認しましょう。

KPI実務においてチェックする理由
セッション数目標とする問い合わせ数を生み出すためにそもそも十分な母数のアクセスがあるかを見るため。
CTAクリック率各ページに配置した「お問い合わせはこちら」といったボタンが、どれくらいクリックされているかを見るため。
フォーム到達率サイトを訪れた人のうち、何%の人が実際の入力画面(フォームページ)まで進んでくれたかを見るため。
フォーム完了率フォーム画面まで来た人が、入力の途中で面倒になって離脱せず、最後まで送信完了してくれたかの割合を見るため。
問い合わせ数すべてのプロセスをクリアし、最終的に自社へ届いた相談の総件数(最重要成果)を確認するため。

目的別のKPI設定例

目的別のKPI設定例

競合のマーケティング記事では「業界別(不動産業界、EC業界など)」のKPI設定例が多く見られますが、中小企業の実務においては「何を達成したいか」という目的別に整理された設定例のほうが遥かに扱いやすいものです。

自社が今まさに注力している目的や、直近でクリアしたい課題に合わせて、以下のKPIパッケージをそのまま自社の数字管理に当てはめて活用してください。

問い合わせを増やしたい場合

BtoBサービス、士業、コンサルティング、システム開発、社員研修などを提供しており、Webサイトからの「直接の問い合わせや相談」を最終ゴールにする場合の設定例です。

この目的では、最終目標となる問い合わせ数や商談数をどれだけ効率よく生み出せるかが鍵となります。単にアクセス数を追うだけでなく、アクセスを確実に成果へ変える「CVR」と、営業に繋がった「商談化率」の2つの率を厳しくチェックするようにしましょう。

項目具体的なKPIの例
KGI(最終目標)Webサイト経由で「月10件の問い合わせ」を獲得する
主要KPIセッション数、CV数、コンバージョン率(CVR)、商談化率
補助KPI問い合わせボタン(CTA)のクリック率、フォーム到達率、フォーム完了率
主な改善ポイントボタンの配置や文言、サイト内の導線、入力フォームの項目削減、サービスページの訴求力

資料請求を増やしたい場合

BtoBマーケティングや注文住宅、高額なスクールなど、ユーザーが購入を決めるまでに時間がかかる「高単価商材」でよく使われる設定例です。

いきなり問い合わせを求めるのではなく、まずはハードルの低い「お役立ち資料(ホワイトペーパー)のダウンロード」や「カタログ請求」を狙います。

ただし、資料請求の件数(CV数)だけを追って満足してはいけません。資料をダウンロードしただけの「まだ見込み度が低いユーザー」に対して、その後のメルマガや電話でどれだけ商談(アポ)へ引き上げられたかという、一歩先の商談化率まで必ず追いかけるようにしてください。

項目具体的なKPIの例
KGI(最終目標)無料ダウンロードやカタログ請求を「月50件」獲得する
主要KPI資料請求数、資料請求CVR、その後の商談化率(アポ率)
補助KPI資料ダウンロードページの訪問数、CTAクリック率、ステップメールの開封率
主な改善ポイントホワイトペーパーの企画・中身、ダウンロードフォームの入力項目数、追客メールの文面

SEO流入を増やしたい場合

自社オウンドメディアの運営や、ブログ記事の投稿(コンテンツマーケティング)によって、広告費をかけずに自然検索からのアクセスを増やしたい場合の設定例です。

SEO施策は成果が出るまでに時間がかかるため、最初から「問い合わせ数」だけを見ていると、正しい成果を判断しにくくなります。

Information

まずは検索結果に露出しているかを示す「表示回数」や「順位」の推移を確認し、段階的にステップを踏んで評価するようにしましょう。

また、記事によって「アクセスを集めるための記事」「問い合わせをもらうための記事」と役割が異なるため、すべての記事に一律で高いCVRを求めすぎないことも実務上の大切な視点です。

項目具体的なKPIの例
KGI(最終目標)自然検索(SEO)経由の問い合わせ数を前年比で20%増やす
主要KPI検索結果への表示回数、クリック数、SEO経由のセッション数、SEO経由のCV数
補助KPI対象キーワードの平均掲載順位、検索クリック率(CTR)、記事内の内部リンククリック率
主な改善ポイント記事のタイトル、検索ユーザーの意図に沿った見出し構成、内部リンクの配置、記事内のCTA文言

広告の費用対効果を改善したい場合

GoogleやYahoo!、Meta(Facebook/Instagram)などに有料のWeb広告を出稿しており、限られた予算のなかで最大限に受注を増やしたい場合の設定例です。

広告運用において最も重要な指標は「CPA(顧客獲得単価)」となります。しかし、CPAの安さだけに目を奪われていると、「CPAは安いけれど、全く契約に繋がらない質の低い問い合わせ」ばかりが集まる原因になります。

Information

必ず広告経由の「商談化率」や「受注率」までを営業部門と共有し、トータルでの採算性を確認するようにしてください。

項目具体的なKPIの例
KGI(最終目標)Web広告経由の「最終受注数」を月3件獲得する
主要KPI広告経由のCV数、CVR、顧客獲得単価(CPA)、商談化率、受注率
補助KPI広告の表示回数、広告クリック率(CTR)、クリック単価(CPC)、LPからの離脱率
主な改善ポイント配信キーワードの選定、広告文・バナー画像の変更、ターゲット設定、除外キーワードの登録、LPの改修

LP(ランディングページ)の成果を上げたい場合

広告の着地先となる「ランディングページ(LP)」や、特定のサービス紹介ページの成約力を高めたい場合の設定例です。

LPの役割は、訪れたユーザーを逃さずに1点集中でコンバージョンへ導くことであるため、最重要KPIは「LP独自のCVR」となります。

アクセス(流入数)が十分に確保できているにもかかわらず成果が出ない場合は、ページ内の訴求力や導線設計に深刻な課題があると判断し、ファーストビューや事例の紹介部分を見直すようにしましょう。

項目具体的なKPIの例
KGI(最終目標)対象LP経由の問い合わせ数を前月比で1.5倍にする
主要KPILPへのアクセス数(訪問数)、LP経由のCV数、LP独自のCVR
補助KPIページのスクロール率(読まれた長さ)、CTAボタンのクリック率、フォーム内での離脱率
主な改善ポイントファーストビュー(最上部の画像・キャッチコピー)、CTAボタンのデザイン、導入事例やお客様の声の追加、FAQの整理、フォームの使いやすさ

MEO・店舗集客を強化したい場合

飲食店、美容室、整体院、学習塾、リフォームショップなど、実店舗への来店やローカルエリアでの予約獲得を目的とする場合の設定例です。主にGoogleビジネスプロフィールの数値を測定します。

店舗ビジネスの場合、自社サイトのアクセス数を見るだけでは不十分です。ユーザーがマップを見て直接起こした行動(電話をかける、お店へのルートを調べるなど)を、店舗集客に直結する重要指標として計測するようにしてください。

項目具体的なKPIの例
KGI(最終目標)Googleマップ経由の月間来店数・予約数を20%増やす
主要KPI画面からの電話タップ数、ルート検索数、MEO経由の予約・申し込み数
補助KPIマップ上での検索表示回数、自社サイトへのクリック数、口コミの投稿数、口コミの平均評価(星の数)
主な改善ポイント店舗基本情報の正確さ、最新の店内・商品写真の追加、お客様への口コミ獲得の働きかけ、届いた口コミへの丁寧な返信、最新情報の定期投稿

KPIツリーの作り方

KPIツリーの作り方

設定すべきKPIが固まったら、それらの数字をバラバラに眺めるのではなく、1つの繋がった図として可視化する「KPIツリー」を作成しましょう。難しく考える必要はありません。

実務の現場でパッと見て「どこを直せば売上が上がるか」が直感的にわかるシンプルな設計図を作ることが目的です。

KPIツリーとは

KPIツリーとは、最終目標である「KGI」を頂点に置き、それを達成するために必要な中間指標(KPI)を、掛け算や足し算の論理でピラミッド状(樹の枝の形)に分解していった図のことです。

これを作ることで、KGIと各KPIの因果関係が綺麗に整理され、「最終成果を10件増やすためには、どの数字をどれだけ改善すればよいか」が視覚的にひと目で分かるようになります。

問い合わせ獲得のKPIツリー例

「Webサイトからの問い合わせ獲得」をゴール(KGI)とした場合の、最も基本となるKPIツリーの数式と分解の流れは以下の通りです。

具体的な数値での当てはめ例

  • 目標(KGI):月10件の問い合わせ
  • 必要な要素(主要KPI):
  • セッション数:1,000回
  • コンバージョン率(CVR):1%
  • 計算:1,000セッション × 1% = 10件のCV

月10件の問い合わせを獲得したい場合、自社サイトのCVRが1%であるなら、逆算して月に「1,000セッション」のアクセスが必要であると分かります。

もし自社の現状を測定した結果、「アクセスは月500セッションしか無いけれど、CVRは1%を保っている」のであれば、やるべき対策はページを直すことではなく「流入数を増やすためのSEO記事追加や広告出稿」だと判断できます。

受注から逆算するKPIツリー例(BtoB向け)

Webサイト上での問い合わせ(CV)の後に営業スタッフによる対面の商談や商談のステップが挟まるBtoB企業や高単価商材の場合は、必ず「最終受注」を頂点に置いたKPIツリーを構築してください。

WEB担当者だけの視点で「問い合わせが増えた」と喜んでいても、営業側で受注になっていなければ会社全体の売上は立たないからです。以下のように営業部門の数字(商談化率や受注率)を掛け合わせて逆算ツリーを作ります。

受注をKGIに設定することで、本当に必要な問い合わせ数やセッション数を正確に逆算できるようになります。

問い合わせの「件数」だけを見ていると、ターゲットから外れた「商談に繋がらない無駄なリード」を大量に集めてしまうといった盲点に気づけません。

このツリーを作成し、Web担当者と営業担当者が毎月同じシートを見ながら「今月は問い合わせが25件もあったのに商談化率が30%に落ちている。Webサイトの集客キーワードを見直そう」といったように部門の垣根を越えて連携・確認していく体制を作ることが、中小企業のWeb集客を成功させる最大のポイントとなります。

KPIを見た後の改善アクション

KPIを見た後の改善アクション

Web集客の数字計測において、最も陥りやすい落とし穴が「毎月末にデータを集計し、レポートのグラフを眺めて終わり」にしてしまうことです。

冒頭でもお伝えした通り、KPIはWeb集客の成績表(結果)ではなく、どこを直せばさらに売上が伸びるかを見つけ出すための「改善ツール」です。

計測した数字が目標値よりも悪かったときに自社のWeb担当者や営業部門が「具体的にどのような次のアクション(対策)を起こすべきか」を、あらかじめ社内の共通認識として整理しておきましょう。

KPI別の課題と改善策

測定した数字が悪い場合、そこには必ず明確な理由が存在します。

数字の状態に合わせた具体的な課題の仮説と、実務で取るべき改善アクションを一覧表にまとめました。

数字の状態(ボトルネック)考えられる現場の課題次に取るべき具体的な改善アクション
セッション数(アクセス)が少ない自社サイトの存在がユーザーに知られていない、流入経路が不足している。・SEOを狙ったお役立ち記事の追加投稿
・Web広告の出稿(または予算の追加)
・SNSからのリンク誘導の強化、MEO情報の整備
検索・広告の表示回数は多いが、CTR(クリック率)が低い検索結果や広告画面に表示されたタイトル・説明文が、ユーザーの興味を惹いていない。・検索ユーザーの意図に合わせた記事タイトルの修正
・メタディスクリプションの見直し・書き換え
・広告文やバナー画像のABテストの実施
セッション数は多いが、CVR(コンバージョン率)が低いページの内容がターゲットに響いていない、または問い合わせボタンが見つけにくい。・ランディングページ(LP)のキャッチコピーの修正
・ボタン(CTA)の配置、デザイン、文言の改善
・導入事例やお客様の声、FAQなどのコンテンツ追加
フォームへの到達数は多いが、フォーム完了率が低い入力項目が多すぎる、またはフォームの操作性が悪く、途中で入力が面倒になっている。・名前やメールアドレス等の必要最低限の項目に絞る
・スマートフォンでの入力画面の最適化(レスポンシブ対応)
・エラー表示(未入力箇所など)を分かりやすく改善
CV(問い合わせ)は多いが、商談化率が低い集客しているキーワードが自社の強みとずれており、質の低いリードが集まっている。・広告の配信ターゲットやターゲティング設定の見直し
・検討度が低いユーザーを弾くための、訴求内容の厳格化
・除外キーワード(無関係な検索ワード)の登録徹底
CPA(顧客獲得単価)が高すぎる広告の配信効率が悪い、または無駄なクリックに対してコストが発生している。・コンバージョンに繋がっていない無駄な広告の配信停止
• 除外キーワードの追加、LPのCVR改善による効率化
・配信地域、曜日、時間帯の絞り込み設定の最適化
商談数は十分に多いが、最終受注率が低いWebサイト側の問題ではなく、商談時の営業提案やヒアリング、顧客理解に課題がある。・営業向けの提案資料の改善、事例集のアップデート
・問い合わせ発生から初回アプローチまでのスピード短縮
・ヒアリングシートの導入による顧客ニーズの平準化

KPIは、悪い数字を見て担当者を責めるためのものではありません。サイトのどこを改善すれば効率よく成果が伸びるか、その「宝のありか」をチーム全員で見つけるためのものです。

数字を見る頻度

Web集客の数字は、確認する頻度(タイミング)を間違えると、日々の小さな変動に振り回されて現場が疲弊してしまいます。

例えば、SEO記事のアクセス数や順位は反映されるまでに時間がかかるため、毎日チェックしても大きな変化は見られません。

一方で、Web広告のコストやCPAは放置すると一瞬で予算を使い切ってしまうリスクがあるため、高頻度でのチェックが求められます。

実務においては、以下の確認頻度の目安を参考にカレンダーに数字のチェック日をあらかじめ組み込んで運用するようにしてください。

追いかけるKPI確認頻度の目安実務における運用のポイント
広告のCTR、CPC、CPA、日々の消化予算週に1回予算の無駄遣いや、広告配信の急激なエラー(リンク切れ等)をいち早く察知して軌道修正するために週次で確認しましょう。
SEOの表示回数、クリック数、特定キーワードの順位月に1回検索エンジンの評価は緩やかに動くため、月次の定例会などのタイミングで前月比の推移をじっくり観察するのが基本です。
サイト全体のセッション数、CV数、総合的なCVR月に1回組織としてのWeb集客全体の健康状態を把握するため、月次の締めデータとして前月や前年同月との比較を行ってください。
営業部門への商談化率、アポ獲得数、最終受注率月に1回 〜 四半期に1回Webから届いたリードがどれくらい売上に化けたか、営業部門と定期ミーティングを設けて数字を突き合わせる機会を作ることが大切です。
LTV、リピート率、顧客の定着期間四半期 〜 半年に1回継続型のサービスやリピート商材の場合、獲得した顧客が長期的にもたらす価値を、半期ごとの経営指標として振り返りましょう。

毎日細かく見すぎて短期の数値変動に一喜一憂するのではない、中小企業の実務においては「月1回の定例確認」を社内で仕組み化し、同じ指標を淡々と追いかけ続ける体制を整えるだけでも、十分に高い改善効果を期待できるようになります。

KPI設計でよくある失敗

KPI設計でよくある失敗

Web集客のKPI設計を自社で進める際、中小企業が陥りがちな典型的な失敗パターンがいくつか存在します。あらかじめこれらの失敗例を知っておくことで、無駄な工数をかけることなく、最初から精度の高い運用をスタートできるようになります。

アクセス数だけを追ってしまう

Webサイトを運営していると、どうしても「PV数」や「アクセス数(セッション数)」の増減ばかりに目を奪われがちになります。しかし、アクセス数はあくまで入り口のボリュームにすぎず、それだけでは集客の本当の成果は判断できません。

いくらアクセスが2倍、3倍に増えても、肝心の問い合わせ(CV)が1件も増えていなければ、ビジネスとしての売上には貢献していないことになります。

Information

対策:アクセス数が増えているときは、単に全体の数を喜ぶだけでなく、必ず「流入の質(自社のターゲット層が来ているか)」や「CVR(コンバージョン率)」もセットで確認するようにしましょう。

KPIを多く設定しすぎる

マーケティングの専門書やネットの解説記事を読むと、膨大な数のKPIが紹介されています。これらを「どれも重要そうだから」とすべて自社の管理シートに盛り込んでしまうと、日々の数字をチェックして集計するだけで担当者のリソースが埋まってしまい、運用の継続が困難になります。

数字を記録することだけで力尽きてしまい、最も大切な「数値を基にした改善アクション」にまで手が回らなくなっては本末転倒です。

Information

対策:専任のマーケターがいない中小企業の場合は、管理する数字を多く設定しすぎず、まずは前述した「5つの主要KPI」程度に絞り込んで運用を開始してください。

KGIとつながらないKPIを追ってしまう

よくある例が「SNSでの情報発信を始めたから、まずはアカウントの『いいね数』や『フォロワー数』をKPIにしよう」とするケースです。

もちろん認知拡大としての意味はありますが、その増えたいいね数が、最終的なゴール(KGI)である問い合わせや売上にどう繋がっているのかの導線が曖昧なままでは、数字を追う目的を見失ってしまいます。

Information

対策:KPIを設定する際は、目先の数字に惑わされず、必ず「この数字が改善したとき、最終的な売上や問い合わせにどう繋がるか」というKGIからの逆算ロジックを常に確認するようにしてください。

問い合わせの質を見ていない

「先月に比べて問い合わせの件数(CV数)が目標を大幅に達成した」と喜んでいても、その中身を営業部門に確認すると、売上に繋がらない売り込みの営業メールや、自社の提供条件と全く合わない対象外の問い合わせばかりだった、という失敗です。

Web担当者の評価指標が「問い合わせの件数」だけになっていると、とにかく数を集めようとして質の低いキーワードで広告を出稿してしまい、かえって営業現場の負担を増やしてしまうことがあります。

Information

対策:BtoBや高単価商材を扱う企業では、問い合わせ数という表面的な数字だけでなく、その後の「商談化率」や「有効リード数」を必ず営業部門と連携して追いかける体制を作ることが重要です。

数字を見ても改善につなげていない

「毎月、アクセス解析のレポートをスプレッドシートに綺麗にまとめて社内で共有している」という企業は多いですが、その数字を見た後に「では、来月はどのページをどう修正するか」という具体的なアクションに結びついていないケースです。KPIをただの「観察対象」にしてしまい、PDCAサイクルが途中で止まっている状態と言えます。

Information

対策:KPIは見て終わるものではありません。数字が目標より悪い原因を考え、改善施策を実行し、その後に再び同じKPIを測定して効果を検証するというPDCAのサイクルを徹底するようにしましょう。

Web集客のKPIを管理する方法

Web集客のKPIを管理する方法

設計したKPIを実務の中で無理なく、かつ確実に管理していくための具体的な方法を解説します。高価な専用システムを最初から用意する必要はありません。

まずはスプレッドシートでもよい

最初から高機能で複雑なマーケティングダッシュボードや、有料のデータ管理ツールを導入する必要はありません。まずは、GoogleスプレッドシートやExcelを使い、月次で主要なKPIを1つのシートに記録していくだけでも十分に効果を発揮します。

大切なのは、美しいグラフを作ることではなく、同じ指標の「数字の推移(トレンド)」を過去のデータと比較しながら継続して追いかけることです。

Information

記録すべき基本項目の例:対象月、セッション数、CV数、CVR、広告費、CPA、商談化率、受注数など

GA4・Search Console・広告管理画面を使う

Web集客に必要な数字は、主に以下の3つの無料ツールや管理画面から抽出して、月次の管理表へと転記していきます。

  • Googleアナリティクス(GA4):サイト全体のセッション数、ユーザー数、CV数、CVR、流入元のチャネル(どこから来たか)を確認する。
  • Googleサーチコンソール:自然検索(SEO)における表示回数、クリック数、掲載順位、CTRを確認する。
  • 各広告の管理画面:出稿している広告の表示回数、クリック数、CTR、CPC(クリック単価)、CPAを確認する。

それぞれの数字をそれぞれの管理画面でバラバラに眺めるのではない、月1回のタイミングで自社の管理表(スプレッドシート等)の1箇所にまとめることで、Web集客全体の構造がクリアに見えるようになります。

営業データとつなげる

Web集客の本当の成果は、Webサイト上で発生した問い合わせの「後」の商談・受注まで追わなければ正しく判断できません。

そのため、Webサイトの解析データだけでなく、営業部門が持っている「問い合わせ管理表」や「CRM(顧客管理システム)」のデータと繋げて管理する仕組みを作りましょう。

流入元(SEO経由なのか、特定の広告経由なのか)ごとに「商談化率」や「受注率」を算出できるようになると、最も効率よく売上をもたらしてくれている「質の高い集客施策」がどこなのかを正確に判断できるようになります。SEO経由と広告経由で、集まるリードの質や成約率が大きく異なるケースも多いため、この連携は非常に重要です。

KPIに関するよくある質問

よくある質問

Web集客のKPI設計に関して、中小企業の現場でよく寄せられる6つの質問に回答します。

Web集客で最初に見るべきKPIは何ですか?

まずはCV数、CVR、セッション数、CPA、商談化率の5つの指標を確認するようにしましょう。

これらは売上に直結する最も基本的な数字であるため、リソースが限られていても管理がしやすい特徴があります。

すべての指標を同時に追う必要はありません。自社が実施している施策がSEO中心であれば検索表示回数やクリック数を、広告中心であればCTRやCPC、CPAを優先的に組み合わせて確認することが大切です。

Web集客で最初に見るべきKPIは何ですか?

まずは、CV数、CVR、セッション数、CPA、商談化率の5つの指標を確認するようにしましょう。これらは売上に直結する最も基本的な数字であるため、リソースが限られていても管理がしやすいです。すべての指標を同時に追う必要はありません。

自社が実施している施策がSEO中心であれば検索表示回数やクリック数を、広告中心であればCTRやCPC、CPAを優先的に組み合わせて確認することが大切です。

PV数やアクセス数が増えれば成果が出ていると言えますか?

アクセス数の増加だけでは、必ずしもビジネスの成果が出ているとは言い切れません。どれだけ多くのユーザーがサイトを訪問していても、問い合わせや資料請求、予約、購入といった最終的な成果(CV)に繋がっていなければ、売上には貢献しないためです。

アクセス数を見る際は、必ずCV数やCVRの動きもセットにして、集客の「質」が伴っているかを判断してください。

KPIは何個くらい設定すればよいですか?

初めてKPI設計を行う場合は、多くても5個前後に絞り込むのが実務的な判断となります。管理する指標が多すぎると、日々の数字を集計する作業だけで担当者の時間が奪われてしまい、改善活動に繋がらなくなります。

まずは最終目標であるKGIに直結する重要な指標だけを優先して選び、運用の体制に慣れてきてから施策別に追加していく方法をとるようにしてください。

SEOのKPIは何を見ればよいですか?

自然検索からの流入を狙うSEO施策では、Googleサーチコンソールなどのツールを活用し、検索表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位、そしてSEO経由のセッション数とCV数を確認するようにしましょう。

SEOは成果が出るまでに数ヶ月単位の時間がかかるため、日々の細かい変動に振り回されるのではなく、月次で数字の推移をじっくりと追いかける姿勢が重要です。

広告のKPIは何を見ればよいですか?

Web広告を運用する場合は、広告の表示回数、クリック数、CTR、CPC(クリック単価)、CVR、CPAの6つの指標をセットで確認することが基本となります。

特にBtoBや高単価な商材を扱っている企業では、広告の管理画面上の数字だけでなく、獲得した問い合わせがどれくらい実際の商談や受注に繋がっているか(商談化率・受注率)まで営業部門と連携して追う必要があります。

KPIを設定しても改善できない場合はどうすればよいですか?

まずは設定しているKPIの数が多すぎて現場の負担になっていないか、あるいは最終目標であるKGIと論理的に繋がっているかを確認してください。

数字を確認しただけで満足せず「CPAが高いから除外キーワードを設定する」といった具体的な改善アクションまでを毎月のルーティンに組み込むことが大切です。

もし社内だけで数字の原因分析や改善策の立案が難しい場合は、Webマーケティングやデータ解析の知見を持つ外部のパートナーに相談することも有効な選択肢となります。

まとめ|Web集客のKPIは売上につながる数字から逆算する

Web集客の本当の成果は、単にアクセス数やPV数が増えたという表面的な変化だけでは判断できません。効率よく売上や利益を拡大していくためには、最終目標であるKGIから逆算し、それぞれの施策が目標達成にどう貢献しているかを数値で測る「KPI設計」が不可欠です。

特に専任のマーケティング担当者がいない中小企業においては、最初からすべての複雑な指標を追おうとせず、「CV数」「CVR」「セッション数」「CPA」「商談化率」といった、売上に直結する最低限の数字に絞って定点観測を続けることが運用のコツとなります。SEO、Web広告、LP、MEOなど、それぞれの施策ごとに見るべき指標の特徴を理解し、数字の繋がりを可視化する「KPIツリー」を活用して自社のボトルネックを特定しましょう。

Web集客で成果を出すには、施策を増やす前に“何を成果として見るのか”を決めることが大切です。アクセス数、CV数、CVR、CPA、商談化率を整理するだけでも、改善すべきポイントは見えやすくなります。

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